謎な石

tarosource2006-01-14

謎の石である。
私が店で働き始めたときからあるにはあるのだが、いったいいつから店にあるのかはちょっと不明である。2〜3年、仕事が忙しくて店に近寄らなかったことがあったから。

この謎の石。データがまったくない。
他の石はいろいろ帳簿が当然あって、産地とか仕入れ業者さんの名前とかを控えてあるのだけれど、これにはない。
そしていつのまにか商品名のシールもはがれてしまっていて、なんの石だかとんとわかっていなかった。・・・パイライトくらいはわかっているけどさ。
だけれど、今回のセールに出そうと店の奥に並べて。
@オーナー@に聞いてみる。

「これ、なんなんですか?」
「えーっとね、これはアズライトとパイライト
・・・・・・・・・・・・は?

「いや、パイライトはわかりますが。アズライトぉ?」
ぜんぜん青くないじゃん?
「・・・そもそもどこがアズライト?」
と質問すると、@オーナー@は「ここ」と指を差した。
そこはまあ、なんとなく表面の結晶の雰囲気からしてアズライトっぽいけれど・・・それに他の黒っぽいところと比べると・・・濃紺?なのかなぁ?酸化しているのだろうか?それとも他の鉱物と混ざって黒くなっているのだろうか?よくわからん。
「・・・で?産地は」
オーストリア
「・・・・・・・」
一見、激シブな石である。梅の花のようなパイライトの模様。黒(濃紺?)と金という組み合わせが、とっても和風テイストでよもやオーストリアとは思うまい。
ジャポネスクな石なんだねぇ・・・。

「これはね、以前、ホラ、『バーライトとアンケライトとラズライト』が一緒になった石があったじゃない?」
・・・詳しくは、2005年10月20日のBlogに載っている、通称『アンドレ』を見てください。
「あれと同じ業者さんから仕入れたんだよ! ドイツ人でさぁ、ドイツ語しか喋れなくて、大変だったんだよ〜!あのころは1人でミュンヘン行っていたし」
それはお気の毒様。まあ、ルーマニア人よりましなんじゃないか?(←彼女は毎年のヨーロッパのミネラル・ショーでルーマニア人業者に苦戦しているのだ。なにせルーマニア人たち、ルーマニア語しかできないから。ルーマニア語→ドイツ語→スペイン語と数人の中継を入れて、Pedro氏がスペイン語→英語で@オーナー@に話すという非常に涙ぐましい結果なのである)

それはさておき。話は「アズライト&パイライト」である。
「そのドイツ人はねぇ、自分で掘りに行っていたんだよ〜、だから秘蔵の石がたくさんあって・・・もう、ミネラル・ショーで会わなくなっちゃったけれど、どうしているのかねぇ・・・」
と、@オーナー@遠い目をする。
遠い目をする前に、細かな産地まで思い出して欲しかったのだが、残念ながらそこまでは辿り着けなかった。
・・・まあ、しかたない。「オーストリア産アズライト&パイライト」でセールしよう。


それにしても。

ここ最近、石ひとつとっても大きく変わっている。
今回セールで出している「クリノクロアー」もその代表だけれど、現在流通しているセラフィナイトたちと雰囲気違うものね。いかにも「天使セラフの羽なんです〜!」っていう自己主張はないけれど、落ち着いた美しさがあるし。

昔の石、現在の石が良いとか悪いとか、そーゆー単純な話ではなくって、あまりに目まぐるしく移り変わる世の中に、石たちも必死に対応しているようにも思える。だから、どっしりとした古さを感じさせる石たちと出会うと、どこか懐かしいというか、落ち着くんだよねぇ。・・・・昭和生まれだからかな?(笑)