フローライト今昔

tarosource2005-07-13

narayaniさんの「Crystal Laboratory」を見ると、今月のお題は「フローライト」と「カルサイト」なんだそうだ。ひょっとしたら、narayaniさんも秘密結社「フローライター・カルサイター同盟」の一員なのだろうか?と思ったらちょっと面白かった。

「Crystal Laboratory」
http://d.hatena.ne.jp/narayani/

で、本来なら「Cry-Lab」にコメントUPすればいい話なんだろうけれど、ぜんぜんメタフィジカルな話じゃないから、自分のブログに書くことにした。



フローライトは現在の時点ではあまり・・・という石だ。ていうか、シャクに触るので、そーゆーことにしている。

子供の頃、紫色のフローライトを持っていた。たぶん博物館に行ったときに土産物屋で祖母あたりに買ってもらったのだろうと思う。
その紫色のフローライトは、別段珍しくない、中国産の八面体原石だ。ちなみに「フローライト」とは書いていなくて「蛍石」という札がくっついていた。

蛍・・・横浜に生まれ、横浜に育ち、親戚一同横浜に住んでいる私にとって、蛍は憧れにも似た、幻想的な生き物だ。いまのところ、ゲンジボタルとかヘイケボタルといった飛ぶ蛍は一回しか見たことがない(飛ばないのは沖縄で見るのだけど)。

闇に光る蛍・・・その「蛍の石」とある、この蛍石なるものは一体なんなのだろうか?光るのかな?と子供ながら考え、調べてみた。

ただ、なにをどう調べたのかよくわからないけれど(苦笑)、唐詩の「夜光杯」にいきついてしまった。(たぶん、子供の頃から文系だから、鉱物の本じゃなくて、漢詩を読んだんだと思うのだけど・・・中国産蛍石だから、中国を調べたのかな?よくわからん)

  葡萄美酒夜光杯  葡萄の美酒 夜光の杯
  欲飲琵琶馬上催  飲まんと欲して 琵琶馬上に催す
  酔臥沙上君莫笑  酔うて沙場に臥す 君笑うなかれ
  古来征戦幾人回  古来征戦 幾人かかえる

唐の詩人、王翰の作のですね。有名なやつ。これを読んだ子供は、「そーかー、夜光る石で作った杯だなんて、なんてロマンチックv」と思い、そこから発展して「蛍は夜の生き物だし、夜に光るんだから、この石も夜に光るんだー!!」となぜか、早合点してそう思いこんだ。(もっと唐詩の「夜光杯」を調べれば、「夜光杯」がなんなのかわかる話なのだけど、小学校の子供が読む「漢詩」の本ってあんまり訳注とか詳しくないのですよね。)

もちろん、夜にフローライトが光るわけがない。でも子供は一生懸命だから、お布団の中に石を握って真っ暗な中で見てみよう、わずかに光るかもしれないと思ったり、蛍光塗料のように光に当ててから物陰で見れば光っているのかとも思ったが・・・なーんも光らなかった。



それからしばらく経って・・・蛍石が「紫外線で光る」という記述と「炎の中で光る」という記述を見つけた。

しかし・・・紫外線とな? 紫外線ってどこにあるんだ?・・・と子供は思った。太陽がそうだろと思うけど、子供の頃は、「太陽の紫外線」と「蛍石が光る紫外線」が一致していなかった。(苦笑)

で、もうひとつの炎の中で光る・・・というのは、簡単な事のように思えた。
だって、一家に一台、ガス台があるし。(笑)
でも、悩んだ。まず、子供の頃はきつく母から火で遊んではいけませんと、きつーくきつーくしつけられていたということと、火にくべたりしたら、この石はダメになってしまうだろうという2つの点で悩んだ。

結局、母のしつけが頭の中にリフレインし、子供の私はその実験を断念。



さらに月日は流れ・・・高校生になったとき。ふと、実験を決行しようと思った。子供は子供だけど、まあ火の始末とかできると思ったし。でも、どうやって、火にくべるんだろう?と思った挙句、フライパンで炒ってみることに。

そして。
パキッ!!

まあ、当たり前なんだけど、八面体は割れてしまった。「あ〜あ・・・」と思ったが、今度は割り箸で欠けたフローライトをつまんで、ガス台の炎に近づけてみる。

そして。
光らないじゃんっっっ!!!(怒)

割ってまで、実験を決行したのに〜〜っ!!チキショー!!!!
と怒ったが、とりあえず、フローライトには「ごめんよ」と謝って、宝箱にしまいこんだ。


さらにまたまた月日が流れ。社会人になり、転職し、宝石の鑑定鑑別事務所に勤めることに。
そこには、なんと素晴らしいことに(当たり前だが)、石の蛍光を調べる機械があった!!

この蛍石がどんな色に光るのかが見たい!

その一身で、子供の頃からずーっと持っていた、紫色の蛍石
仲の良い鑑定士にお願いして、お昼休みにちょっと見てもらった。

が。
光らな〜〜いっ!
なんで〜〜っ!!(涙)

蛍石は、蛍光発しない方が多い」ということを、そのとき身を持って知った・・・大ショック!!
そして怒り狂った!!!

なんでなんで、光らないんだーーーーっ!!!!

もともと、短気な私が、ここまで粘ったのにーーーー!!
キレた私は、その紫の蛍石を、ポイっとゴミ箱に捨ててしまいました(涙)。

いま考えると、捨てなくてもいいのに、可愛そうなことしたなー、とも思うのだけど。

しかしそれ以降、蛍石が嫌いになった。(笑)
光らないくせに、蛍だなんておこがましいっ!!
・・・って、いう感じ?

だけど、ここ2年。
店で働くようになって、@オーナー@のフローライト好きに影響されたのか、ちょっとづつまたフローライトも可愛いと思ったり(笑)。
認めたくはないんだけどね。

でも、この2年で、小さなフローライトが3つ。集まった。
イングランド産の紫外線で青くなる緑のフローライトと、
イリノイ産のブルー→パープルにカラーチェンジする八面体のと、
ブラジル産のでブルー→パープルにカラーチェンジするルースと。

ちゃんと色が変わる、フローライトたち(苦笑)。
満足、満足???


(写真のは、店にあるイリノイ産のフローライトたちです)