「私」を表す石

tarosource2005-06-11

たぶん、季節は冬だったと思う。
あるとき来店されたお客様と他愛ない話をしていたそのとき、ふと目の前にいる人を石に例えたらなんだろう?ということになった。お客様のHさんに私は「Hさんはクリソコラですね」と言った。
理由はよくわからないのだけど、これはもう直感というやつだ(いまはちょっと違う気もするけど)。
で、私はなんでしょう?ということで、出て来た石が「アパタイト」。
あーぱーたーいーとー?
芸能人は歯が命ってか?(古い・・・)
それからというもの、店に来てはアパタイトとにらめっこする日が始まった。


なんでアパタイトなのかは、Hさんは言わなかった。
まあ、こーゆーのは、自分で考えないと意味はないわな。
もちろん、Hさんが私の全てを知っているわけではないけど、着実にそのアパタイトの一面があるのは事実なのだと思う。

が、アパタイトねぇ・・・。

アパタイトというと、フローライト、カルサイトに続いてオーナーが好きな石だ。買ってこなくていいのに、買ってくる(笑)。
私はというと、あんまり・・・どーでもいい石だ。
フローラ・アパタイトと書いてあって、蛍光するのかな?これ?としばし考えていて、後にフッ素のことだと知るまでに多少の時間がかかったくらい、知らない石だったりする。
それでもとにかく、「アパタイトだね」と言われたからにはと本やサイトで調べてみた。

うーーーーん。わからん。
首を傾げることしばし「?」。
私にとってアパタイトって、なんなんだろう?
まるで「クリスタルとワークをする」を1人でやっているようだよ。(苦笑)



それからしばらくして。早春の頃。
ある石屋さんの展示会に行ってみた。いままで行きたくても行かれず、本当は初日に行きたかったけれど、行かれず。で、フツーの平日に行ってみた。
行ってみたかった展示会は楽しかった。
本来はルースが好きなので、あれやこれやと探すことしばし時間を費やす。
イタリア産のスペサルティン、ほしかったなー。
そのあと、原石へ。
「あ」
アパタイトがあった。店にあるのと同じタイプ。
ライム・グリーンの柱状結晶。
そこにはいろいろあった。
大きいの小さいの、透明度の高いもの、そうでないもの。1個1個手にとってはあーでもない、こーでもないと、いろいろな角度から眺めた。
その結果。
なーんだ。
自分の店で買おう〜〜〜。

一言いっておくと、他店様の展示会の商品が悪かったというわけでは、決して決して絶対にない。
ただ、自分の店の商品である石の形状、クオリティ、値段諸々にはっきりとした自信を持った。ということだ。ただそれだけ。
だったら、もともと私は@オーナー@の選んでくる石が純粋に好きなので、店で買った方がいいや、と思ったわけだ。

価値観の多様化って、よく言われているけれど、石もまた然り、だと思う。本当にいろいろな人がいて、いろいろなことを言う。自分のスタンスがどこにあるのか、なにを目指しているのか、明確にしていくのは難しい。だからこそ「考えること」「確認すること」「意志をもつこと」が必要なのだということを教えてくれた石だった。

結局、仕事好きだし、店の石が好きだし。店員としての自分にとってはそれがすべてかな。
キラキラ綺麗な割には控えめな石だけど、アパタイトって可愛いかも。と思った。