Ⅲ 女帝
今回のデンバーで仕入れた中で、スギライトの原石があります。IMAGEのお知らせのときに、ちょっとHPに載せたのですが覚えていらっしゃるでしょうか?
最大幅7cmくらいの板状で、表面に細かなスギライトが結晶しています。スギライトって、塊状で結晶しやすいのに、よ〜くルーペでみると六方晶系になっている優れもの。色も濃い紫で、ビューティフル。
・・・ビューティフル、なんだけどね。
「スギライトってよくわからない・・・」
この原石は原石が美しいので、文句ないのだが、実はスギライトって・・・イマイチピンとこない。
そもそも、スギライトの意味がイマイチ好きになれないのだ。
『パワーストーン百科全書』(八川シズエ著 中央アート出版)から引用させていただくと、
(スギライトは)一説には、「今世紀中(20世紀)に発見された鉱物の中でも1、2を競う癒す力のある石」と言われ、その力は永久不変の愛を象徴するとされています。(中略)内なる知恵と洞察力を高めて、普遍的な真理を追究するための力をもたらしてくれるそうです。
・・・・よくわかんない。
なんか、なんていうのかな・・・そう、すごい意味を持っている割には、中身を感じられないっていうのかな?
「20世紀で・・・云々」って誰がそんなことを決めたのだろう。万人がこの石に「癒し」を感じるのだろうか?じゃあ、万人が感じる究極の「癒し」ってナニ?
「永久不変の愛」ってナニ? 「愛」って人それぞれじゃないの?
「普遍的な真理」ってナニ? だいたい、最初にこの石をリーディングした人間が「普遍的な真理」とやらを知っていたのかな?
・・・と、言ったら@hida@ちゃんが笑ってた。
「でもさあ、20世紀っていったって、前半と後半じゃぁ、『癒し』の内容って大きく違うよね?」
そうだよねー、日中戦争、太平洋戦争、GHQ、、朝鮮戦争、高度経済成長、ベトナム戦争、オイルショック、安保闘争・・・バブル経済などなど。いろーんなことがあった20世紀だものね。
「なんかさぁ、スギライトに惹かれる人とか、惹かれているときって、物質的な豊かさがあるけれど、精神的に『寂しい』とか『疲れた』っていう人が多いような気がするんだよね〜」
例えばだが、結婚していて、夫の仕事も安定していて、マイホームもある。子供もいて、たまにテストの点が悪いとか、悪戯が過ぎるとかはあったとしても、健康に育っている。自分も健康。主婦としても母としても、妻としても充実している・・・はずなのに。ふと、気が付いて鏡を見つめると、なぜか疲れてしまっている自分がいる。なぜ・・・?
「・・・っていう感じ?」
「・・・ナルホド」
一理あるかもしれない。物質的に豊かだからこそ、精神的に豊かな「何かが」あるのかもしれないと、この石に見出す・・・というのはあるような気がするなぁ。と思いながら、再びHPを作るべくPCに向かう。
「・・・・あ、『女帝』に似ているかも」
フッと、スギライトってタロット・カードの『女帝』に似ているかも。って思った。
『女帝』の意味は、豊かさ、実り、妻、母、女性的魅力、結婚、繁栄、出産、収穫・・・・などなど、大地母神の実り多き豊かさのパワーと、女性本来の美しさを表すカード。
・・・なのだけど。実は私にとって見ていて楽しいカードでもない。なんかねぇ・・・古典的な「女」っていう感じ? あるいは男にとって、「女」とは、「母」とは「妻」とは、こうあるべき。・・・って言われている様な気がして、「都合のいい女」っていうイメージがあるカードだ。
「@oku@ちゃん、過去世で、家庭に押し込められて窮屈な妻をさせられていたんじゃない?」と、@hida@ちゃんがさすがに苦笑する。
「過去世かどうかはわからないけどさ・・・」
でも、『女帝』の持つ「女」「母」「妻」って、自分の周りの男友達や、自分のパートナーを見ていても思うけれど、やっぱり男の理想としてあるんだよね。そしてそれに対して、少々ムカつくこともあるけれど、受け入れる自分もいる。まあ、これをいうと、以前の「女性性」の話になってしまうから、これ以上は置いておいて。
結局、スギライトも似ている。
『女帝』がカードの中に「究極」の「女」「母」「妻」を理想として描き出されているように、
『スギライト』もまた「究極」の、あるいは「普遍的」な「癒し」や「愛」とか「真理」とかを理想とし、その石の中に見出そうとする。
それらが本当に「存在」するのかどうか私は知らないが、それでも「求める」という心は存在する。もしくは「拒絶する」という心は存在する。
たぶん、スギライトの中に眠るなにかと、自分の心の中にある何かが明確にリンクすれば、もっといろいろ見出せるのかもしれないけれど・・・・うーーーん。
やっぱりスギライトって、フォーカスできないなぁ・・・(ダメじゃん)。